英語史を知ると英語をもっと好きになれる! 最終回③語彙編
こんにちは!
最近英語史について書いているけど、果たしてみなさんにとって本当に面白いのかと悩んでいるハマノです!
しかし、一度やると決めたが最後、やり遂げてみせようと思いますので何卒お付き合いください!
がんばって興味深いものにしたいと思います!
今回は、前回(英語史を知るともっと英語を好きになれる!②文法編)でお伝えした通り、英語史を通じて「語彙の謎」を説明していきたいと思います!
本日の謎は以下の3点!
⑤どうして同じような意味の単語がたくさんあるのか。
⑥ youはどうして単数形も複数形も同じ形なのか
⑦ 助動詞のcanとmayはどうして両方とも許可の意味があるのか。
⑤どうして同じような意味の単語がたくさんあるのか
英語の単語の勉強をしていると、「同じような意味の単語多くね?」ってなりませんか?
私はなります。
やはり、英語を学習し始めた中学生の生徒さんも同じようなことを思うらしく、
「buildがあんねんからconstructいらんくない?」というような質問(というより不満)をたくさんいただきます。
では、どうして似たような意味を持つ単語がたくさんあるのでしょうか。
現代英語には3つ組を成すことができる類義語群を多く見ることができます。
例えば、
ask – question – interrogate
gift – present – donation
time – age – epoch
help – aid –assistance
のようなものです。
各組の語の語源が
古英語(本来語) – フランス語(借用語) – ラテン・ギリシア語(借用語)
となっています。
ここまで来れば、英語史をかじったみなさんなら「どうして同じような意味の単語がたくさんあるのか」という問いに答えられるのではないでしょうか。
前々回(英語史を知ると英語をもっとすきになれる!①発音編)でご紹介しましたように、中英語の頃にノルマン・コンクエストの影響でフランス語の語彙が流入し、近代英語の頃にはルネサンスの影響で主に教養のある人々の間でラテン語やギリシア語が使われるようになりました。
もう一度上の3つ組の例を見てほしいのですが、古英語由来の語は簡単で、フランス語由来のものは普通で、ラテン・ギリシア語由来の語は難しいですよね。
これにももちろん、歴史が関係しており、
古英語由来の語は昔から一般の人々の間で使われていて、
フランス語由来の語は、中英語の頃に主に上流階級で使われていて、
ラテン・ギリシア語は、主に知識人の間で使われるようになったという背景があるからです。
こうして、英語にはたくさんの類義語が生まれるようになったというわけです!
⑥ youはどうして単数形も複数形も同じ形なのか
中学生の頃に、I – my – me – mine, you – your – you – yoursという人称代名詞をお経のようにずっと唱えさせられたのは僕だけではないはずですよね。
これを習ったときに、どうして「あなた」だけ「あなたたち」になっても同じ形何だろうと感じました。
しかし、英語の歴史を紐解いてみると、昔はやはり「あなた」と「あなたたち」は区別をしていたようです。
下の表をご覧ください。
ご覧のように、中英語の時代に複数形と単数形の形が同じになりました!
このyeは、発音からわかるように古英語2人称複数の主格geに由来しているものなので、
”中英語で二人称複数が二人称単数にも使われるようになった”ということができます。
ではなぜ使われ出したのか。
複数を単数の敬称として使うようになったのです。
???
ですよね(笑)
どういうことかと言いますと
直接目の前にいる相手を言及することを避け、複数の代名詞を使ってぼやかして言うことによって丁寧さを表現しています。
現代ではその「丁寧さ」のニュアンスは失われ、両方(単数と複数)とも同じ形を取ることになりました。
しかし英語話者にとっても「あなた」と「あなた達」が同じyouであることは不自然、また表現が難しい時があるのでしょうか。
ネイティブスピーカー達の会話を聞いていると、最近では複数を指すのに”you guys”という表現をよく耳にします。
TFAのネイティヴ講師陣も集団授業でよく言っているので、生徒の皆さんは注目してみてくださいね!
⑦ 助動詞のcanとmayはどうして両方とも許可の意味があるのか。
もともと「許可」を表すのにmustを使っていたけど、mayを使うようになって、最近ではcanが増えて来たという流れです。
それはなぜでしょうか?
答えはまたまた「丁寧さ」に関係します。
「許可」を意味するmustが「義務・命令」を表すようになって、許可の意味でmustを使うのがはばかられるようになり、mayを使うようになりました。
しかし丁寧さというのは時間を経て失われるものであるので、そのmayも失礼になって、最近ではcanを使うようになったという流れです。
この「丁寧さが失われる」という事象は日本語でも存在し、一般に「敬意逓減の法則」と呼ばれます。
例えば、『貴様』という表現は今では失礼な表現ですが、かつては丁寧な表現でした。たしかに『貴』と『様』で成り立っているんだから本来は丁寧であるはずですよね?
しかし、丁寧さが時代を経て失われて、現代では失礼な表現となったのです。
最後まで読んで下さった方…ありがとうございます!!!
日本語にも流行語のようなものがあって、それがいつの間にか定着して当たり前のように使っている言葉ってたくさんありますよね。
英語も時代の流れと共に、人々が使いやすいように、時には相手を思いやって
今の英語があると思えば感慨深くありませんか?!(笑)
日本語話者にとっては難しいルールも沢山ありますが、この僕の記事を読んで少しでも英語という言語に興味を持ち
英語を勉強する意欲の足しにして下さる方が1人でもいらっしゃることを願います。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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